大きく振りかぶって
Zブラシ!
Zブラシ!
と言い続ける子供をみかけた。
父親は小麦色のイケメンだった。
割腹が良いというよりは
少しきつそうな肉布団を着込んだような宝満なボディ。
その持ち主であるさっきまで五月蝿かった酔った中年男性が静かになり、束の間の落ち着きを取り戻した電車内。
その通常よりも稼動範囲が狭くなっている関節群を巧みに曲げ、椅子にもたれかかるように眠っている中年男性。
特に気にせず仕事仲間と話していると
ゴトン。
という音と共に転がる中年男性の持っていた箱。
通常であればずっと膝の上に乗っていたのだろうが中年男性の身体が織りなす曲線にはストッピング能力が無かったのだろう。
中年男性は爆睡をキープ。
いずれ気が付くと思い放ってくと突然再起動して箱忘れたまま車外に出る中年男性。
一応忘れてますよと声かける。
が反応無。
車外に出て忘れ物だと言ってみた。
反応無。
階段を下る中年男性の肩を叩く。
無愛想な顔で受け取る中年男性。
一安心で振り向くと閉まる電車のドア。
やるせない怒りが込み上げたがとりあえず一緒に降りていた同僚に謝った社会性の高い私。
そんな私は今日から新宿発最終の埼京線に間に合うように帰る事にした。
公言もしてみた。
会社を出た時間も申し分ない。
いわゆる完璧というやつだ。
駅に着き一駅進むと隣の駅で人身事故が起きたとアナウンスがあった。
多少忙しくとも人生の歯車というやつはとめどなく押し寄せる物だということを実感させられた。
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